早く、丁寧に、正確に ―代表を支えるアシスタントの、素直な流儀。

「お子さんが病気の方や不登校の方を募集してますって、そう書いてあった」

愛知県。子供の小児がんによる半年間の付き添い入院を経て、進藤が在宅ワークを探していた時、目に飛び込んできたのが、【おおなみこなみ】の求人だった。

2025年4月に代表・松浪の初期アシスタントとして参画してから、進藤は【Nami】オンライン秘書チームの中核で、代表を支える2名のアシスタントの一人として動き続けている。本記事では、就職経験ゼロで飛び込んだ進藤が編み出した『早く、丁寧に、正確に』の流儀と、スクール6校が同時に走った修羅場を乗り越えた気づきに迫る。

求人文の一行で、生活が変わった

小児がん、付き添い入院、いじめ、そして在宅への転換

進藤は生まれて、結婚や出産を経ていまに至るまで愛知県に暮らしている。就職経験はなく、パートやフリーターとして働き続けてきた人生だ。

転機は、子供が小児がんを患ったことだった。半年間、進藤は病室で子供に付き添い、退院してからも定期的な通院が続く生活が始まった。当時働いていた葬儀会社に介護休暇明けで戻ったとき、新しく入ったメンバーからのいじめが待っていた。

「もう働くの、難しいな。在宅で働ける仕事を探そうと思って」。

そうやって探していた進藤の目に、松浪の求人が飛び込んできた。

「お子さんが病気の方や不登校の方を募集しています」。

応募条件の欄に、そう書かれていた。

「え、すごい、と思って。いいんですか、って」。

すぐに面接を申し込み、話をしたら、松浪はその場で採用を決めた。事務作業をしたことがない、オンライン秘書業務も未経験、と正直に伝えた進藤に、代表はこう答えた。

「いいよ、やりながら覚えてくれれば」。

2024年4月、進藤は【合同会社おおなみこなみ】の初期アシスタントとして働き始めた。

代表・松浪という、尊敬する人

判断が速く、寛容で、気遣いができる

進藤が入って最初に感じたのは、代表・松浪の人柄だった。

「判断がすごく早い方で。あと、お子さんが病気の方に対しても、寛容というか。『病院で今日働けないです』とかでも、『全然いいよ』って言ってくださるし。気遣いがすごくできる方で」。

求められた以上の仕事をしている姿を、進藤はいつも隣で見てきた。

「人間として尊敬できる方です」。

松浪代表自身が、うつ・がん・医療的ケア児の育児という試練を乗り越えた経験から【おおなみこなみ】を立ち上げた人だ。だからこそ、事情を抱えた女性たちを迎え入れる土壌がある。進藤は、その姿勢を『気遣い』という言葉で表現する。

進藤に与えられた仕事は、代表のスケジュール管理、案件受注時の振り分け、営業リスト作成、そしてクライアントとのフロント対応。代表が新規の営業活動に集中できるように、既存の運用を丸ごと引き受ける役割だ。

スクール6校が、同時に走った夏

『やればできる』を、信じ切った日々

進藤の中で、一番大変だった時期は明確だ。2025年の夏、スクール事業が急拡大した時のことだ。

【おおなみこなみ】は、ライティングや動画編集を教えるオンラインスクールのバックオフィス業務も請け負っていた。スクールごとに教材の対応が違い、生徒への挨拶や説明資料の送付方法も異なる。それが、1校から2校、3校と増え、最終的に6校が同時に走る時期があった。

「来月からこの新しいスクール対応するので、よろしくお願いしますって、ちょっと雑な感じで引き継ぎがきたこともあって。自分で内容をくみ取ってやらなきゃいけないことが、ちょっと大変でした」。

スクールごとに異なる仕組み、生徒ごとに変わる対応。進藤が受け取った情報だけでは足りないことも多かった。それでも進藤は、自分で調べ、代表の過去の対応を思い出し、目の前の対応を一つずつ形にしていった。

「代表だったら、この時どうするかな」。

その基準で動く。恥をかかせたくない、役に立ちたい、その一心で。進藤の中で、判断の軸は明快だった。

クライアントから届いた言葉で、進藤が今も覚えているのは一つ。

「対応が早いのは、助かります」。

褒められたと言うほどの派手な言葉ではない。だが、この一言が、進藤の中の指針を作った。

「早く、丁寧に、正確に」。

それが、進藤が仕事を受けるたびに自分に言い聞かせる、揺るがない基準になった。

指示文を、コピペで済ませない

生徒によって、伝え方を変えるという工夫

スクール事業を通して、進藤が最も向き合ってきたのは、テキストコミュニケーションの難しさだった。

案件が入るたびに、進藤は生徒に指示文を送る。最初は代表・松浪が使っていた文面をそのままコピペで使っていた。だが、伝わらない場面が続いた。

「指示文がすごく長くなっちゃって、くみ取ってもらえないこととかもすごくあって。人に伝わりやすい文章を、どうにかして編み出せないかなって、常に考えてました」。

生徒によって、書き方を変える。前に仕事を頼んだ時にちょっと怪しかった相手には、より詳しく説明を書く。テキストは対面より情報量が落ちる分、一発で伝えるための工夫が必要になる。

進藤は、この試行錯誤を今も続けている。もう一つ、進藤の中で確立された基準がある。

「コミュニケーションが、まめに取れる方」。

信頼できる仕事相手の条件を、進藤はこう表現した。返事が早い、質問に対して答えがきちんと返ってくる、こまめに連絡してくれる。派手ではないが、テキスト前提のこのチームで最も重要な要素だ。

そして、進藤自身のスタンスも、この基準に忠実だ。

「割と、自分がされて嫌なことは絶対にしたくないので。年上の人には敬語を使うとか、そういう当たり前のことですけど、なんかそういう当たり前のことをやろうと思ってます」。

自分では『すごい昭和な考え』と笑うが、この素直さこそが、進藤が代表・松浪から任されている理由だ。

加藤と、シフトを組む

二人体制で、代表の背中を支える

2025年の8月、【おおなみこなみ】に、もう一人のアシスタントが加わった。加藤だ。岡山県在住、障害のあるお子さんを育てる母。

進藤と加藤は、シフト制で連携している。交代で担当し、非シフト時も状況を把握して互いにサポートする。連絡はこまめに取り、引き継ぎは丁寧に。

「シフト入ってなくても、結構お互いに気にはしてて。」。

加藤は、進藤と対照的に、代表の周辺の複数の業務に手を挙げて携わっている。加藤が新規案件に手を伸ばし、進藤が既存運用を安定させる。二人の役割は自然に補完し合う形になっている。

加藤の存在は、進藤にとって力になった。判断に迷う時、まず加藤と相談する。二人で決められない時に、代表に相談する。独断で動くことも増えたが、二人体制は進藤に安心感を与えている。

「一緒に、ずっとやっていけたらいい」。

進藤は、加藤についてそう語った。事情の違う二人が、同じ会社で代表を支えている構図。これが、【おおなみこなみ】の現在地だ。

在宅ワークで、支えたい女性を増やす

会社の課題と、進藤自身の成長への意欲

進藤が今、感じている会社の課題は、はっきりしている。

「会社が女性の就労支援みたいなことをやっていて。自分が子供の病気とかで関わってる人たちも、みんな在宅ワークができた方がいいなって思ってるので。いつ何時入院になっても働ける状況があったらいいなと思って。会社をもっと大きくして、もっとたくさんそういう女性たちを集めて、仕事できたらいいなと」。

そのために、進藤自身が向き合う課題も明確だ。エクセルなどの事務スキルはまだ苦手で、調べながらやらないとできない部分も多い。もう一人のアシスタント・加藤は、自分で考えて提案までできる優秀な人。だから、その隣で自分ももっと会社が良くなる提案ができるようになりたい。

勉強の仕方も、シンプルだ。わかりませんとは言わずに、自分で調べる。AIを使って調べる。実践して定着させる。

「会社が良くなるために、どうしたら早く正確に仕事を回せるか」。

進藤が毎回、仕事を受けるたびに自分に問いかける、その一言だ。

代表を、リスペクトして

これから右腕になる人へ、進藤の言葉

最後に、これから右腕になっていく後輩たちへ、進藤はこう語った。

「まず、代表をリスペクトして。その方が何を求めているか。指示を待つんじゃなくて、自分から動いていくように。代表の力になれるように、頑張ってください」。

「代表をリスペクトして、自分から動く」。

そして、あの夏の6校が同時に走った経験について、進藤は今こう語る。

「やればできるんだ、と思って乗り越えられたことは、すごく自分の財産というか、自信につながっています。私がこんなことを決断していいのかな、って思った時もあったけど、やればできたじゃん、って」。

だから今日も進藤は、代表・松浪のスケジュールを整え、加藤とシフトを組み、新しい案件を生徒に振り分ける。テキストで指示を出すたびに、相手に一発で伝わる書き方を考える。『早く、丁寧に、正確に』を、今日も自分に言い聞かせながら。

もしいま、あなたが誰かの右腕として、「自分にはスキルが足りない」と感じているなら、進藤はこう言うはずだ。

「スキルより先に、代表の役に立ちたい気持ちがあればいい」。

編集後記

「割と、自分がされて嫌なことは絶対にしたくない」という、素朴で真っ直ぐな言葉が印象的だった。就職経験もなく、事務作業の経験もない状態で、代表・松浪の初期アシスタントとして飛び込んだ2025年4月。それから1年、今では【Nami】オンライン秘書チームの中核として、複数の生徒・複数のクライアントと連携している。

『お子さんが病気の方や不登校の方を募集しています』の一行に、進藤氏は自分の未来を託した。そしてそれに応えるのは、『早く、丁寧に、正確に』という、飾らない仕事の姿勢だ。この地味に見える基準こそが、テキスト前提のこの会社を回している。