孫正義の賭けを“成立させ続けた”右腕・宮内謙

情報革命で、人々を幸せにする。

それが、孫正義の掲げたビジョンだった。

夢は大きく。
時間軸は途方もなく長く。
リスクは、常識の遥か上。

その横で、現実が破綻しないよう支え続けた男がいる。
ソフトバンク副社長、宮内謙だ。

トップは、未来を語る

孫正義は、10年、30年、300年先を語る。

通信、IT、投資、世界規模の構想。

その視点は、常に今という境界線を超えている。

だが未来の話は、足元を一度でも踏み外せば即死へと繋がる猛毒も含んでいる。

右腕は、今日を成立させる

宮内が引き受けたのは、夢を語ることではない。

夢が語れる状態を、一日たりとも欠かさず維持することだった。

資金繰り、事業の優先順位、規制との調整、現実的な着地地点。

孫が行くと言えば、宮内はどうやって生きて辿り着くかを考える。

リーダーがアクセルを踏み抜くとき、彼はエンジンの熱を管理し、車体がバラバラにならないようボルトを締め続けた。

賭けが破綻しないための設計

ソフトバンクは常に社運を賭けた大勝負を打ってきた。

失敗すれば会社ごと吹き飛ぶスケールの狂騒だ。 

だからこそ宮内は冷徹な設計を重ねた。

一気に攻めすぎない。 

常に複線の脱出路を用意する。

撤退の境界線を曖昧にしない。

彼は孫を止めなかった。ただ、壊れないように周囲を鉄壁の論理で囲ったのだ。

残ったのは、賭け続けられる会社

孫正義が何度でも大勝負を打てたのは、彼が無謀だったからではない。

賭けが外れても、次に立ち上がれる構造があったからだ。

未来を描いたのが孫正義なら、生存を守ったのは宮内謙だ。

右腕とは、夢を疑わず、夢が死なない現実を引き受ける覚悟をもった人間のことだ。